秘密の地図を描こう

　　162　　

　ミーアはすぐに見つかった。しかし、その隣にいた人物は予想外だった。しかし、ここでそれを指摘するわけにはいかない。そう判断して、皆で移動をする。
「……よかったの？」
　ここに来て、とキラは問いかける。
「お前たちと話をすることは、最優先事項だからな」
　そうだろう？　とイザークは言い返してきた。
「護衛は俺がするっていったんだけどな」
　苦笑とともにディアッカがその後にこう続ける。
「とりあえず《ラクス・クライン》の護衛なら、文句は言われないからな」
　イザークはそう言って笑う。
「しかし、わかっていても戸惑うな」
　ラクスが二人いるというのは、と彼は続ける。
「そう？　二人とも確かに似ているけど、別人だよ？」
　ちゃんと区別できる、とキラは笑った。
「確かに。ちょっとした仕草に癖が出ているからな。気をつけているようだが」
　さらにカナードがこう言ってみせる。それにミーアが驚いたような表情を作った。
「初対面で気づかれたのは、キラさん以外では初めてです」
　その表情のまま、彼女はこう言った。
「そいつらは、お前の顔を見ているからだろう。俺は、顔ではなく仕草を見ていたからな」
　そう言うことだ、とカナードは何でもないことのように言葉を返す。
「……キラさんのおそばには楽しい方が多いです」
　微笑みながら、ミーアはそう言った。
「そうでしょう？」
　ラクスが自分のことのように微笑んでみせる。
「それよりも、何がありましたの？」
　このような時期に、と彼女は表情を引き締めると問いかけた。
「それに関しては、私の方から説明をさせていただきます」
　口を開いたのはミーアではなくイザークだった。
「これからの作戦について、とりあえずお互いの意思をすりあわせておいた方がいい。それが議長のお考えです」
　キラがトップだから、あまり差異がないとは思うが……と彼は続ける。
「オーブは、これ以上大きな被害をだす前に、ジプリールの身柄を確保したい、と言うところかな？」
　そして、正当な手段で裁くべきだ。そうでなければ、あれこれと言ってくる者達が出てくるのではないか。
「それはこちらも同じだ」
　確かに、とイザークもうなずく。
「だが……」
「ジプリールの身柄を確保するのはどちらの陣営でもかまわない。最優先すべきなのは、もう二度と同じことをしようとするものが出ないようにすることでしょう？」
　国のメンツだのなんだのはどうでもいい。キラはそう言いきる。
「カガリにもそれでかまわないって許可はもらってあるから」
　さらにそう付け加えれば、ディアッカが「だろうな」とうなずいて見せた。
「わかった。それならば、こちらとしても問題はない」
　イザークはそう言ってうなずく。
「とりあえず、連絡を密にとっていけばいいか」
「それに関しては、こちらにニコルがいてくれるからいいと思うけど……」
　そちらからの連絡はどうするか、とキラは首をかしげる。
「それこそ、ニコル経由でかまわないのではないかね？」
　彼に嫌みを言える人間はそういないだろう。ラウが笑いながらそう言った。
「それでなければ、エターナル経由かね？」
「そうですわね。数日中に合流できる予定ですから……それでもかまわないかと思いますわ」
　微笑みながらラクスもうなずいてみせる。
「……それに関しては、心配がいらない、と言うことか」
　カナードもうなずく。
「なら、後はジプリールの居場所だね」
　それが一番難問かもしれないが、とラウは言う。
「それに関しては、ザフトも全力を尽くしていますから」
「もちろん、オーブもですよ」
　だが、どこに潜んでいるのか、わからない。キラはそう言って眉根を寄せる。
「焦っても仕方がありませんわ」
「そうですね、ラクス様」
　彼女たちはそう言ってうなずく。しかし、だ。
「何で、マイク？」
「歌うからですわ」
　決まっているだろう、と彼女は真顔で付け加える。
「……そうですか」
　それ以外言い返せないキラだった。